多業種で活躍するIT企業・DONUTSのエンジニアが語る「エンジニア」の役割

はじめに

未完Laboでは、12月23日に「DONUTS カフェクリスマススペシャル」を開催しました!株式会社DONUTSのエンジニアの方をお招きして「エンジニアが企業で果たす役割」についてお話をいただきました。

「エンジニア」は今、どんどんと職種や働き方が多様になっています。将来エンジニアになりたい!という方にとっては「今、何を求められているのか?」「実際に開発を行う会社ではどんな人材が活躍するのか?」など、気になることも多いのではないでしょうか。

そこでこのイベントでは、株式会社DONUTSから採用責任者やAIチームのリーダー、マネージャーと、様々な視点と経験からエンジニアの仕事をしている3名の方々から、エンジニアとして働く上で大切なことをお聞きしました。

それぞれの視点から見たエンジニアに関するお話は、キャリア選択の参考になること間違いなし!

登壇者のご紹介

(写真左から)今川隆行さん、直江和弘さん、小畑芳将さん

今川 隆行(いまがわ たかゆき / Takayuki Imagawa)

株式会社DONUTS BizDev / PMO / Engineer採用責任者

エンジニア、ディレクター、事業責任者、採用責任者を経て、株式会社DONUTSにジョイン。システム開発、ビジネスモデル構築、マーケティング、新卒/中途採用、制度設計を実際に自ら手を動かして行ってきた突飛な人物。
DONUTSでも複数の役割を兼任。今は札幌オフィス開設を通じて、「優秀なエンジニアと言えば北海道」と称される環境を作りたいと考えている。

直江 和弘(なおえ かずひろ / Kazuhiro Naoe)

株式会社DONUTS 札幌オフィス エンジニアマネージャー

1988年生まれ。北海道出身。東京の独立系SIerにて受託開発や客先常駐を経験した後、北海道にUターン。BtoC/BtoB/BtoBtoCの自社サービスを開発しているベンチャー企業で、Webサービスやスマートフォンアプリなど20を超える製品開発に携わる。
2022年7月から株式会社DONUTSの札幌拠点立ち上げにジョインし、採用業務にも積極的に取り組む。

小畑 芳将(おばた よしまさ / Yoshimasa Obata)

株式会社DONUTS AI開発チームリーダー

1986年生まれ。秋田県出身。デジタルマーケティング領域におけるソリューションサービスベンダーでコンサル兼エンジニアとして従事。クライアント企業のデータ/顧客分析、施策提案、DWH(プライベートDMP)構築に関する要件定義/プロジェクト管理から設計/開発まで網羅的に経験。
2021年1月から株式会社DONUTSへAI開発エンジニアとしてジョイン。プロダクト企画から開発業務までを兼務し、社内の様々な課題解決に取り組む。

プログラムが書けるだけじゃない、エンジニアに大切なこと

最初のトークセッションでは、今川さんと直江さんにエンジニアにとって技術以外に大切なことをお話いただきました。企業で開発を手がける中でしか見えてこないポイントなど、ここでしか聞けないリアルな話が飛び交いました。

大切なのは、自分の好き嫌い、得意不得意を理解すること

今川:まず第一に理解しておくと良いのは「エンジニアはプログラミングが好きな人が集まっている世界」ということです。そのため、好きだから頑張れば優秀なエンジニアになれるという世界では無いことが前提になります。

だからこそ、プログラミングが好きなだけではなく、自分の好き嫌い得意不得意を理解した上で仕事や働き方を選ばないと思ったように活躍することは出来ません。

好きな仕事は楽しい、得意な仕事は成果が出せる。

好きと得意が一致していれば最高ですが、これまで1,000人以上の方に会ってきましたが、一致している方は5〜8%という感覚です。

皆さんには自分の好き嫌い得意不得意を理解して、自分に合った仕事や働き方を選んで欲しいと思っています。得意じゃなくても好きで楽しい仕事にするか、好きじゃなくても得意で成果が出る仕事にするか。自分が納得出来るキャリアと働き方を選択しましょう。

エンジニアはプログラミング(=コードを書くこと)が得意じゃないと活躍できないんじゃないかと不安になる人もいると思いますが、プログラミングはスキルの一つでしかありません。全体設計や企画、要件のヒアリングなど他にもやるべき仕事はたくさんあります。

「優秀なエンジニアは手を動かさない時間が長い」という話は、これらの仕事に時間を割き、その後のプログラミングやリリースなど、ゴールまでのイメージを具体化しているという意味です。プログラミングが得意でもスキルを正しく使えなければ効果は半減してしまいます。だからこそプログラミングが得意じゃなくても優秀なエンジニアになることも出来るとも言えます。むしろ、システム開発はチームで行うことが一般的なのでこちらの方が大切かもしれませんね。

直江:確かに私も、ゴール設定の大切さを会社で働きながら学びました。若いころは好きで楽しくてプログラミングに夢中でしたが、仕事では作りたいものを作ることよりも、求められるものを作らなければいけないことの方が多いから、自分のタスクのゴール設定を見誤らないことが大切だと感じています。

今川:あとは、メジャーリーガーの大谷翔平選手のようなスターになるためには、好きと得意だけでなく、環境と運も必要です。仮に、大谷翔平選手が日ハム以外に入団していたら打者か投手のどちらかに専念させられていたかもしれません。同様に、トップクラスのエンジニアになるためには環境と運も欠かせない要素です。

だからこそ、エンジニアを目指す学生のみなさんには、自分の好きと得意を理解した上で、働く環境や一緒に働く人を見て選択して欲しいと思っています。

社会人では当たり前だけど、学生が意外と知らないこと

今川:次は「社会人では当たり前だけど、学生が意外と知らないこと」についてお話しします。簡単に言うと、言葉の定義が一般化して広くなっていたり、会社によって意味が異なるというお話です。

例えば、「PM(プロジェクトマネージャー)」という言葉は、プロジェクト全体の管理と成果に責任を持つという役割です。しかし、この「プロジェクト」という言葉の定義は企業によって全然違います。工程という意味では、要件定義から全体設計を業務とする企業もあれば、詳細設計からプログラミングを業務とする企業もあります。規模という意味では、1人プロジェクトのPMみたいな企業もあります。

たまに「新卒1年目からPMになれます」「上流工程から関われます」といった訴求を見かけることがあると思います。その際は必ず「あなたの会社でのプロジェクトの単位や定義は何ですか?」と質問しましょう。もしかしたら、自分が想像していたものと乖離があるかもしれません。みなさん、認識齟齬が起きないように気を付けてくださいね。

事業会社で横断的にAIを開発する仕事

2つ目のトークセッションでは、株式会社DONUTS AIチームリーダーの小畑さんに、事業会社のAIチームがどんなことをしているのかお話いただきました。

小畑:弊社のAIチームは、社長直下で動く遊撃隊のようなチームです。社長から「AIでこんなことできない?」と言われたアイデアを企画し、会社の全事業部に跨って機能開発をしています。基本的な業務内容は「企画/調査・分析」「技術検証・モデル開発」「設計/開発・インフラ」「運用/保守・評価」の4つで、開発するだけでなくその前の企画から始めることが多いです。各事業部の人や有識者インタビューをしながらターゲットや機能案を詰めていきます。先ほども手を動かす前のゴール設定が大切といった話がありましたが、まさに企画の部分でゴールやロードマップを明確にしています。

弊社でのAI開発は、精度向上よりも提供価値が重要になることが多いです。

例えば、1%の精度向上のために3か月の時間がかかるとしたら、その3か月で精度を上げる以上に大きな提供価値を出す方法はないか、と考えます。

もちろんAIの精度が提供価値に直結するサービスもあります。例えば、工場の異常検知などは、精度が1%変わることによる事業インパクトは大きいと思いますし、それが「価値」なのだと思います。

私が業務フローの中で最も大切にしているのは、1番最初の「プロジェクト立ち上げ」です。ここでの課題やターゲットの設定が的外れだと、開発しても使われない機能になってしまうので、実際にインタビューを繰り返して仮説を立てながら丁寧に進めていきます。ロードマップを作成するときも、やりたいことを全て盛り込んでいると開発に1年とか2年かかってしまい、できた時には状況が変わって役に立たないということもあるので、可能な限り実用最小限の製品をリリースできるよう計画を立てています

座談会でのQ&Aをピックアップ!

後半の座談会で出たQ&Aから、面白かったり大事だと思った話をいくつかピックアップします!

Q. AIチームの小畑さんへ。企画や開発をする中で難しいポイントや苦労する点などはありますか?

小畑:各サービスのドメインの知識などは、より詳しい人にインタビューをしながら自分たちも知識を深めていく必要があって難しいです。そこが楽しい部分でもありますが、その点も含めて企画のやりがいを感じるときが多いです。

直江:エンジニアの視点では難しいと感じることも、企画職の人は「すぐやろう!」って言うこともありますね。そういうとき、企画に携わるエンジニアは、ミニマムで実装可能な落とし所を提案するのが腕の見せ所です。

Q. 入社後すぐに実務で開発したり本番環境に触ることに不安があります。事前にどのようなスキルや勉強が必要などありますか?

小畑:株式会社DONUTSは、入社後は比較的すぐに各チームに配属され、いわゆるOJTで研修をしてもらいます。内容はチームによって異なりますが、最初は小さなバグ修正などから始めてもらうことが多く、そのコードはちゃんと先輩や上司がレビューをするため、いきなり大きな責任を背負わされるようなことはないです。実務を通して一歩ずつスキルアップできる環境ですし、そもそも実務をやってみないとわからないことも多いので、実務を経験してから勉強する形の方が理解できることも多いと思います。

Q. AIの学習で始めやすい内容はなんですか?

小畑とりあえず「動かしてみる」系の本から勉強してみると、学習しやすいと思います。ディープラーニングなどの書籍だと最初に細かい数学的な理屈から始まるものも多く、そういう本だと実際に動かしてみるまでに数か月かかったりするので、最初の学習には難しいかもしれません。

今川:新しい技術の勉強をする時に、いきなり難しい本を読むと頭の中に入らなくてすぐに諦めてしまう。それは、プログラミング言語や新しい技術への漠然とした理解度が足りないから。手を動かして簡単なものを作ってみたり簡単な本を読んでみると、なんとなく理解度が上がっているので、その先の内容も今まで以上に理解できるようになる。

直江:ビジネスも学習もプログラミングも同じで、壮大なやりたいことがあっても、できるだけ小さい単位に区切って進めていくことが、最短ルートだと思います。

まとめ

今回は株式会社DONUTSのエンジニアの方にお越しいただき、エンジニアの役割について様々な視点からお話をいただきました。

企画チームとの仲介者になったり、ヒアリングや全体設計を丁寧に作るなど、エンジニアと言ってもただコードを書くだけじゃない仕事や役割が実際の現場にはたくさんあるので、自分の得意を生かせる働き方を見つけたいですね。

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