【~テックで地域をアップデートする~未完×デルタ新潟合同LT会】イベントレポート

はじめに

新潟県を拠点にエンジニア、デザイナー/クリエイターが集うコミュニティ「デルタ新潟」( https://derta.org/ )とコラボし、北海道と新潟両エリアのエンジニアと学生が交流し学ぶ場として、【~テックで地域をアップデートする~未完×デルタ新潟合同LT会】を開催しました。イベントには運営を含めて28名が参加し、前半のLT会では6名が各々の活動や活動で得た知識を発表。参加者の交流を目的とした後半のミートアップでは質問が飛び交い、LTの内容やエンジニアとしてのキャリアに関する話題などで盛り上がっていました。

今回の合同LT会は前半をLT会、後半をミートアップに分けて開催しました。前半のLT会には、デルタ新潟から元フラー株式会社CTOの藤原敬弘弘氏を始めとして3名が、未完Projectが運営するテックコミュニティ 未完Laboから3名が登壇しました。

〈登壇者プロフィール〉※登壇順

◇藤原 敬弘 (ふじわら たかひろ) /株式会社ビアパイント 代表取締役

(Twitter)

1986年生。北海道出身。国立苫小牧工業高等専門学校卒業。日立製作所を経て、2011年11月フラー株式会社を共同創業、 取締役CTO(最高技術責任者 Chief Technology Officer)に就任。

2020年11月に株式会社ビアパイントを創業、代表取締役に就任。

2020年12月に千葉県柏の葉 BEER BRAIN BREWERYで醸造研修、オーナー兼ヘッドブルワーとしてt0ki breweryを設立。

◇茂木貴紀(モギタカノリ)

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北海道大学工学部所属(休学中)。TypeScript をメインとしたフロントエンド / バックエンド開発を行っている。アセンブリとブロックチェーンと天文学と生物学とサウナに興味がある。

◇安達 誠 (あだち まこと)

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大学在学中にバンドで全国を転々とするもプロの道を諦めWEBエンジニアに転身。 県内のWEB系企業を経て、2016年に株式会社ソルメディエージにジョイン。 

その後、新型コロナウィルスによる緊急事態宣言中の2020年春にスティーク株式会社を設立。 業務システム・アプリ・WEB・ECなどの受託開発と並行して、ものづくりの町として有名な地元新潟・燕三条エリアの企業と共同で製造業向けの月額制クラウドアプリを開発。

 製造業を中心に中小企業のデジタル化支援を行なっている

◇西野貴宏(にしのたかひろ)

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技術的なことが高校生から好きで、電子工作やプログラミングにもともと興味をもっていました。大学生になってからコミュニティやサークルを探して HUIT に参加。 広く・浅くいろいろやっています。

◇小村 奈央(こむら なお)/株式会社Emitgnos 代表取締役

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1996年生。新潟県出身。高校卒業後、独学でデザインとエンジニアリングを学び、2017年からフリーランスのデザイナー/エンジニアとして活動。

2018年9月に株式会社gojuonのCDO(Chief Design Officer)に就任し、主にWebアプリケーションのデザインとマネジメントを行う。

2021年5月に株式会社Emitgnosを創業、代表取締役に就任。ブロックチェーン技術を活用したクリエイター支援プロトコルの開発を行っている。

◇西村航(にしむらわたる)/未完Project 事務局長|IRENKA KOTAN 合同会社 執行役員

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幼少期に見たSTARWARSの世界にあこがれ、中1から独学でデジタルクリエイティブを学ぶ。 高校3年生の時にIRENKA KOTAN 合同会社にエンジニアとしてジョイン。 

2021年7月から正式始動した未完Project の事務局長を務める。 得意分野はWebエンジニアリング / WordPressのプラグイン開発などを行っている。

〈LT会の振り返り〉

①クラフトビールを支える技術

オーナー兼ヘッドブルワーとしてt0ki breweryを設立され、新潟県佐渡島でクラフトビールの醸造をされている藤原さん。今回はマイクロブルワリーで「発酵をDXする」ことが進んでいない現状と、藤原さんのブルワリーで実際に導入されている技術をご紹介いただきました。

藤原さんが工場のデジタル化を進める目的のひとつは「工場をデジタル化した上でマイクロブルワリーの構造を民主化することで、だれでもクラフトビールをクラウドで作れたら面白い」というアイデア。いままで一般人からは遠かった醸造の世界も、DXで身近なものになりつつあるのかもしれません。

発表の後半では、藤原さんのブルワリーで導入されているAPI制御の機器を実際に見せていただき、初めて見た設備に参加者は驚いていました。

②はたらくということと学ぶこと

インターンや旅をする中で得た違和感や気付きについて北海道大学工学部に所属(休学中)する茂木さんに発表していただきました。

就活で内定を得たものの、エンジニアとしてではなく他の領域で評価されることが多く、もっとエンジニアとして評価されたいと感じ、休学しているそうです。

フルタイムでインターンをする中で気付いた、インターンのポジティブな面とネガティブな面を共有してくださいました。

「インターンをするだけではなく、自己分析、金銭面の分析を含めて自分自身でかんがえて行動するのが大事」というまとめが印象的でした。

③ITによって社会的規範から放たれ、自分のWILLを探す旅に出た話

現在スティーク株式会社の代表取締役を務められている安達さん。学生に向けて、起業家としてのキャリア選択の話をしてくださいました。

現在β版でリリースされている製造業向けITツール「ツクログ」を開発するきっかけとなったのは、潜在ニーズを見つけるために2年間現場に通い、お客さんに寄り添われたこと。その工場で作られている製品の工程や型番を把握できるまでになったそうです。

安達さんのWILLは、「ツクログ」によってものづくりのDXを進めることだそう。

2年間現場に通ったうえで、サービスを開発~運用されている安達さんの考える課題は、まだ現場での経験がない方にとっては刺激的だったのではないでしょうか。

④VPNは結局何をどうしているのか

北海道大学工学部、北大IT研究会(HUIT)に所属する西野さん。前半では、VPNの仕組みの説明とネットワーク実験の結果について、後半にはコミュニティでの活動や勉強会をすることで得られることについて発表してくださいました。

「パケットの中身をみてみたい」という興味からネットワーク実験を試みたものの、環境構築が出来ず、残念ながら実験に至ることはできなかったそうです。

後半は、サークルで開いた「学生トラブルシューティングコンテスト(ICTSC)」に向けた勉強会の内容を紹介していただきました。勉強会を開催することで初心者がアウトプットを作るまでのハードルが下がったり、主催者側は勉強会を開催するために勉強したりと、コミュニティ全体でのスキルアップを図ることができることから、今後も勉強会を多く開催してみんなでスキルアップをしたいと話されていました。

⑤デザイナー不在のプロダクト開発チームがデザインのためにできること

代表取締役を務められる株式会社Emitgnosで、ブロックチェーン技術を活用したクリエイター支援プロトコルの開発をされている小村さん。今回は、デザイナーとしての経歴もありながらエンジニアとしても活躍されている小村さんが考えるデザインと、それを実現するためのツールをご紹介いただきました。

普段UIの制作では、HTMLやCSSを直接記述する形でUIを制作される方もいらっしゃると思いますが、開発工数や実装速度の面で、UIライブラリを用いることがおすすめだそうです。

アクセスビリティ上の問題を生み出す可能性を無くすためにも、CSSとHTMLの記述はなるべく避け、UIライブラリを使うことが推奨されていました。

小村さんにとって「デザインは選択肢を減らしていく作業に近い」そうです。そのため、デザイントークンを作ること、シンプルさを保つこと、オブジェクト指向のUIデザインにすること、その上でアクセシビリティを意識することが必要だと話されていました。

少人数の開発ではデザインにリソースを割くのが難しいかもしれませんが、小村さんの「デザインは選択肢を減らしていく作業に近い」という言葉通り、必要な要素のみを配置し、デザイントークンになぞらえながら、さまざまなツールを利用していけばエンジニアのみのチームであってもデザインのハードルや負荷が下がるかもしれません。

また、小村さんは今回の資料を公開されていますので、興味のある方はご覧ください。

https://sixaxd.com/posts/188

⑥ミニマルデジタルシフト~チャットボットで作る簡単なアプリケーション

未完Projectの事務局長西村さんからは、チャットボット自体やLINEやSlackで導入する面でのメリット、チャットボットの作り方を共有していただきました。

「課題解決に素早く対応できるアプリケーションが作れる」ことがチャットボットの優れた点だと捉える西村さんは、その要因を3つ紹介していました。

〈ミートアップの様子〉

後半のミートアップは、運営が参加者を複数のグループに振り分けて交流する時間と、話を聞きたいと思った登壇者のグループに参加者が入って交流する時間にわけて実施しました。グループ内の全員で自己紹介をしたのち、参加者から登壇者へ、発表内容への質問や経歴についての質問が多く出ていました。特に学生の参加者からは、「エンジニアとしてのキャリアをどう進めていけばいいか」「登壇者の方のように幅広い領域に挑戦したいが中途半端になりそうで不安」などの相談/質問が出ており、充実した時間になっていました。

デルタ新潟について

デルタ新潟は「DIGITAL UPDATE NIIGATA」を理念にデジタルの力で新潟をアップデートするためにIT/Web業界に属するディレクター・デザイナー・エンジニアたちが集まってつくるコミュニティです。

活動の軸は大きく2つあり、1つはデジタル技術のサービス提供を行う専門家同士が切磋琢磨し、最新情報をキャッチし、断続的にレベルアップしつづけられる環境をつくること。

そしてもう1つは、新潟の一般企業がデジタル技術を活用した事業のアップデートに挑戦しやすい空気をつくるため、成功事例・失敗事例を通じて生まれる「活きたノウハウ」をたくさんの方にシェアすることです。

新潟が全国的に見てIT先進県、「デジタルといえば新潟」と呼ばれる状況をコミュニティに参加するみなさんで作っていけたらと思っています。