サークル活動で深い学びを提供するためにできることとは ー cistLT取材記事

「北海道テックコミュニティ特集」。第2弾は、公立千歳科学技術大学のサークル、cistLTサークルに取材をしてきました。サークルの運営に関して深い考えを持っているお三方に運営の際に心がけていること、参加者優先で学びを提供する場には何が大事かうかがってきました。


今回は、cistLTサークルからうーたんさん、おおさかさん、おおともさんの3人の学生にお越しいただき話を聞きました。個人のプロフィールは記事の最後に載せています!

cistLTは、公立千歳科学技術大学のサークルであり、正式に学校の承認を得たサークルです。
サークルには1年生から3年生まで18名の幅広い学生が参加しており、主な活動内容はLT会や勉強会。活動を通して学年を問わずコミュニケーションを取りながら、より深く技術に興味をもって学ぶことに重きを置いているそうです。

LTとは?

Lightning Talkの略で1人3〜10分の短い時間で自分が普段扱っている技術や新たに挑戦した技術などについてのプレゼンのこと。お互いの知識共有やモチベーションの共有など様々な目的で活用されています。

年齢や技術力を問わずLT会に参加できる雰囲気づくり

LT会や勉強会に関わらず多くの人が参加するイベントや企画は楽しく充実し、情報や知識の共有も活発になります。それとは反対にどんなイベントでも参加者を募るとモチベーションの高い人がたくさん参加するわけではありません。参加したいけど足踏みしてしまう人や自分の技術力や年齢などに不安を感じてしまう人も中にはいるでしょう。

ですが、代表のうーたんさんにとって技術の習熟度はコミュニケーションに差が出る要素ではないとのこと。

「プログラミングができるかどうかよりも楽しく学べる環境が大事。難しかったら違う形を提案するなど工夫の仕方はある」(うーたん)

技術よりも大事なのは楽しく学べる環境を用意することでそのためにいろいろな工夫をしているといいます。

「なかなか発表しにくいと思うので、できるだけハードルをさげるように声掛けをしたり、登壇してくれそうな方に直接声をかけたりしながら参加しやすい空気感をつくることを心がけています。」(うーたん)

「他には、ジャンルによって参加のしやすさに違いが出るので、こちらから参加しやすそうなジャンルのLT会のときに声をかけたりなどもしています。」(うーたん)

他にも声掛けをする相手をサークル内外でよく見かける人や、話したことのある相手を中心にすることでより参加してもらいやすくしているとのこと。

「ゲリラ的にイベントや企画を開くと、集まるメンバーが偏ってしまって1年生や初学者が参加しづらくなってしまうと思っています。」(うーたん)

深い学びの場としての勉強会

対して勉強会では、声をかけることよりも、テーマとしている技術に興味を持ってくれた人に参加してもらうことを重要視しているとのことです。また、勉強会では必ずテーマを設けるようにしているそうです。

「勉強会では教える側と教わる側が明確ではないとしても、分かれていると思います。その学ぶものを一致させることが重要だと思っています。」(うーたん)

参加への自主性やモチベーション

LT会や勉強会の参加のしやすさには、そのサークルやコミュニティに所属する学生のモチベーションなども関わってきます。モチベーションを保つ上ではなにより自主性を大事にしているとのこと。

「イベントを開催する以上、誰かに参加を強制したら終わりだと思っています。出たいと思っている人に出てもらわないと、義務になった時点で楽しくないと考えています。」(おおとも)

「比較的、今年加入してくれた1年生はモチベーションが高めなので期待しています。」(おおさか)

2021年度、アクティブな1年生が多く入ったcistLTですが、重要なことは参加してくれる方の数よりも密なコミュニケーションとのこと。

「今年参加してくれた1年生の数はちょうどよかったです笑。多すぎてもLT会や勉強会への参加を募って活発な動きをしていくのは難しいのかなと考えています。」(うーたん)


学びの質の高いコミュニティ

ここまででcistLTの質の高さ、学びに対する深さが分かってきたと思います。その点について代表のうーたんさんにお聞きしました。

「他のサークルやコミュニティがどういう活動をしているかはあまりわからないんですが、積極的に参加してくれる方にはよりコミュニケーションをとっていきたいと考えています。」(うーたん)

そんなcistLTですが、サークルメンバーとして学校内からどういう風にみられているか聞いてみたところ意外な回答が返ってきました。

「学校内ではサークル活動が活発ではなく、だれがどのサークルに入っているかわからないのでお互いあんまり知り合えてない感じがあります笑」(おおとも)

特に今年は新型コロナウイルスの影響でサークル紹介はうまくできていないので、その点も要因の一つなのではないでしょうか。

サークルとしての外とのかかわり

cistLTとして学校外との関わりや、学校外向けの活動についても伺ってみました。

「外向けの企画を考えてはいますが、3年生にやりたい思いがあってもサークルメンバーである1年生や2年生が登壇して発表してくれるような企画だと難しいなと考えています。」(うーたん)

「過去にサークルとして、北海道大学のHUIT(北大IT研究会)さん、会津大学のZilさん、広島大学のCammelさんと、かかわりを持ってイベントを開催したことはあります。個人でも学外との関わりもあると思います。」(おおさか)

「僕も個人個人の参加が主で、団体としての参加は難しいのかなと考えています。」(おおとも)


サークルが抱えている悩み

1年生が参加するオフラインのイベントや、時間のかかる企画を代表として自ら進めるうーたんさんですが、サークル活動として抱えている悩みがあるそうです。

「今の悩みとしてイベントを企画してもオフラインで集まれる場所がなかったり、技術力のある人や勉強会を教えることができる人が少ないことがあげられます。」(うーたん)

オフラインならではの活動ができない難しさ

オフラインのイベントは、一度学校の教室に集まってHTML/CSSの講習会を開くことができたもののそれ以降はオフラインでの開催はできておらず、そこが難しいところとのこと。

「オフラインのほうが勉強会を開いても壁が生まれにくく、オンラインだとコミュニケーションに壁が生まれていくと思っていてそこをオンラインだけでどう除いていくかを考えています。」(おおさか)

「質問やコミュニケーションを対面だとその場で同期的に行えますが、オフラインになってしまうと非同期になってしまうぶん、対面よりもコミュニケーションの数自体が減ってしまっていることが課題です。」(おおさか)

オンラインでは対面よりも、質問一つでもどう聞くのがいいのか、答える側もどううまく答えればいいのかが壁になってしまっている部分もあるそうです。

その壁を取り除くためにも月2回の定例会議でコミュニケーションをとっているとのこと。また、講習会や勉強会のフィードバックについても難点を抱えているとのことです。

「新たな技術や言語を習得する機会をLT会や勉強会で開いても、その後の経過が分かりにくいのが難しいところです。」(おおとも)

「おおとも君の話してくれた通り、オフラインよりもみんなが何を開発しているかわからないので厳しいです。」(おおさか)


cistLTに参加を希望する学生へ

取材に参加してくれたお三方に、今後参加したいと思ってくれている学生に向けてメッセージをいただきました。

「興味のある学生はぜひ参加してほしいなと思います。興味のある学生に名前が届いていないこともあり、名前が広まってほしいなと考えています。特に千歳科学技術大学の中の生徒に知ってほしいですし、学校外の学生にも活動をを知ってもらいたいです。」(うーたん)

学校外からの参加に関しては、大学の公認サークルである以上学校内でイベントや企画への参加は厳しいけれどもSlack上でのコミュニケーションはできるのことなのでぜひ興味のある学生は代表の うーたんさん(https://twitter.com/uutan1108)か cistLT 公式(https://twitter.com/cistLT)に連絡をしてみてください。

「個人的には誰でも気軽に参加してほしい思いはありますが、自走できるようになってほしいなと思っています。最近1年生がUnityをよく扱っているので自分もC#言語のハンズオン資料を作って言語を学ぶ足掛かりにしてほしいなと考えています。そういう形がきっかけでどんどん学んでいってほしいのですが、そこの反応が得にくいのが現状オンラインだと厳しいですね。」(おおとも)

「参加してくれるタイミングでなんらかのモチベーションややりたいことがあって入ってくれていると思います。cistLTがそういった目標を達成できるような手助けができる場所であればいいなと考えています。」(おおさか)


プロフィール

今回取材に協力していただいた、お三方のプロフィールです。普段からどういった開発をしているか、どういったソフトやアプリなどを作っているかうかがいました!

うーたん

公立千歳科学技術大学3年生 / cistLT 代表
普段は主にWeb系の開発をしています。

Twitter: https://twitter.com/uutan1108

最近サークルの中でVueを触っている方が増えて、自分も触ってみています。もともとReactは触っていたんですが、Vueの記法を学ぶ目的で頑張ってます。Vueはテンプレート内の変数を事前に宣言する必要があったり、Reactとは違ってテンプレート内でスクリプトが書きにくかったり意識して書かないとコードが汚くなりがちなので大変です。

MyTube
NicoTube
(どちらもうーたんさんが制作した、YouTube風ニコニコ動画閲覧アプリです)

動画の取得には別でバックエンドをNodejsで立てて、そのエンドポイントをVueのフロント側からアクセスしてデータを取得しています。作り始めたら自分で納得がいくまで作りこむタイプなので、しっかりやってるつもりです。他にはNext.jsで自分のポートフォリオサイトを制作しています。


おおさか

公立千歳科学技術大学3年生 / cistLT 副代表

普段は主にWeb系と、たまにUnityでゲームを作ったりしています。最近はCTFの分野の勉強を始めています

普段はWeb開発が主で、アウトプットは少ないんですがUnityなども触っています。自分はアウトプットよりもインプットをして勉強を進めていくのが好きなので、CTFもその一環で勉強を始めました。

最近はGlideというノーコードのアプリ開発ツールで、千歳市の飲食店の検索サイトを作成してみました。その時はフロント周りはGlide側でやってくれるのですが、バックエンド側はGoogle SpreadsheetとGoogle App Scriptを使って構築しました。それなりに見れるものを作れたと思うので是非見てみてください!

千歳フード&テイクアウト
https://probable-point-1725.glideapp.io/ 「App版(Glideで作成)」
https://chitose-fts.web.app/「Web版」


おおとも

Twitter: https://twitter.com/HKDOtomo

Java, Python, C#などを用いたバックエンド開発が好きですが、最近はフロントエンドにも手を出しています。

バックエンドが好きでよく触っています。WebのアニメーションがCSSで記述できることを知って、フロントエンド技術は面白いなと思いました。フロントエンド技術に触れていく中で今後VueとReactのどちらかを使ってみようかと思っています。2つの書き方が競合するのでどちらかの書き方を選ばなきゃいけないなと考えています。個人開発ならVueかなと思っていますが、大規模開発ならReactかなと思っています。

バックエンド領域に関わらずですが、自分が設計した機能がバグ無しで動いたときはとても気持ちいですね。Unityも触るんですが、コード重視になるとどうしてもバグが多くなるのでそこがうまく解決できると気持ちがいいです。